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翌日の月曜日、昼過ぎまでは、家で片づけ物をして過ごした。 もうじき夏が来るから、そろそろ衣替えをしなければならない。 洋服箪笥の整理をやっていると、母が階段を上がってきた。
「古い服ポンポン捨てるんじゃないよ。 地味なのは母さんが着てあげるからね」
「そう言って、下の押し入れ、お古のジャケットやシャツで一杯じゃない」
「もったいないって。 あんたがせっせと稼いだお金で買った物だから」
そう言ってベッドに座りこんだ晴子は、『捨』と書かれたダンボールに入った服を点検していたが、やがて顔を上げた。
「昨夜さ」
「え?」
「あんたが基子ちゃんとこに行ってる時間に、電話かかってきた」
「私に?」
「いや、母さんに訊きたいことがあるって、新木くんが」
達弥のことだ。 ハンガーから服を外す未夏の手のスピードが、急に落ちた。
「へえ、何訊いた?」
それがね、おかしなことなの。 昔、あんたの知り合いに、孤児がいたか? ってね」
やっぱり。
フレアのロングスカートを脇に置くと、未夏は母を振り返った。
「答えた?」
「うん。 多分お隣りの博己くんのことだろうと思ったから、家族を事故でなくした不運な男の子で、未夏と仲良しだったと言っといた」
「火事の話は?」
少し沈黙した後、晴子は慎重に答えた。
「それも言ったよ。 でも、博己くんが原因かもしれないとは言わなかった。 だって、はっきりした証拠があるわけじゃないんだもの」
未夏はほっとして、スカートを放り出し、母と並んでベッドに座った。
「そうだよね。 母さんのそういうところが好き」
「え? なに妙なおだて方してんの」
晴子は苦笑した。
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