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遠くに見える幼稚園の子たちも、そろそろ帰り支度を始めていた。 一方、左の渚には中型犬を二頭連れたカップルが現れて、ロングリードで楽しそうに棒を投げて遊び出した。
小屋で女の子組が着替えた後、男の子たちも入って濡れた海パンを脱ぎ、ビニールバッグに突っ込んで出てきた。 四人はもつれるようにくっついて一塊になり、のんびりと段々を踏んで道に上がった。
「えーと、どっち行くか」
貞彦が手をかざして、午後の光に白っぽく光る道路を見渡した。
未夏がすかさず言った。
「『ホワイトウイング』だよねー。 パフェおごる約束だよ」
「そうだった?」
ちょっととぼけてみせて、それでも貞彦は先頭に立って歩き出した。
空の端が茜色に変わるころ、一同は基子を家まで送ってから、ぐるっと迂回して家路についた。
二人の男の子に挟まれて、未夏はご機嫌だった。
「両手に花って感じだね」
はしゃいで言うと、貞彦がしかめっ面を返した。
「何の花だよ」
「うーん、そうだな。 セイタカアワダチソウ」
「雑草じゃないかよ!」
「じゃ、ひまわりか」
「俺は木がいいな。 樅の木とか。 お前は花でも、ドブの横にいるドクダミな」
「なぬ!」
未夏が帽子を脱いで、ぶつ真似をすると、貞彦は大げさに跳んで逃げた。
未夏に歩調を合わせてゆっくり歩いていた博己が、二人を観察しながらまた言った。
「やっぱ仲良しだね」
「だから違うって」
未夏は素早く博己の後ろに回りこんで貞彦から離れ、さっと博己の腕を取った。
「今日はヒロくんとパートナーなんだ。 貞彦は基子の夢でも見てなさい」
「うっせーよ」
貞彦は唸ったが、否定はしなかった。
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