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いよいよ調査が必要だった。 いったい何が、そんなにヴァルを死の淵に引きずりこもうとしているのか、見つけ出さなくては!
「ヴァルとは昔なじみなの。 あの人が軍人になる前からの」
短く説明するリーゼを、アイメルトは娘を慈しむような目で眺めた。
「僕たちが初めて会った日に見送っていたのは、彼?」
「ええ」
辛い思い出だった。 声が自然と低くなった。
「この前の妙な手紙、あれも彼に関するものだったんだね?」
アイメルトは重ねて尋ねた。 リーゼは小さく頷いた。
「前には無理やり別れさせられ、今度は気持ちの準備なしに、いきなり再会させられたの。 どういうことなのかしら。 不安だわ。
誰かが私を使って彼を陥れようとしているのか。 そんなことをしても無駄なのに。 彼の地位や財産なんか狙っていない。 最初から、ただ傍にいたいと思っていただけだった」
「狙ったほうがいいんじゃないかな?」
アイメルトはサラッと大胆なことを言った。
「君はよくも悪くも野心がなさすぎる。 歌の天才だから世に出ることができたが、普通はもっと自分を押し出して、汚いこともして、やっと頭角をあらわすものだ。
恋愛だってそうさ。 受身なばかりでは、一生日陰の花だよ。 僕は君にそんな生活をしてほしくない。 リーゼ、君には最高のものがふさわしいんだ」
アイメルトの忠告は、リーゼの心に小さな火をつけた。
――そうだ、私も自分のために、そしてヴァルのために戦わなければならないのかもしれない。 ザビーネ嬢への態度でわかる通り、彼は愛のない政略結婚なんて望んでいない。 闇を振り払わなくては。 そして、いつか二人で幸せに!――
そう考えただけで、涙腺が緩んだ。
リーゼが馬車の中で決意を新たにしているとき、ウィーンの町を一台の郵便馬車が出発していった。
その信書袋には、左手で注意深くしたためられた一通の手紙が入っていた。
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