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165 部屋割りで
エイプリルは、改めて友達と付き添いのアルフをドレクセル夫人に紹介した。 夫人はみんなににこやかに挨拶し、使用人を呼んで部屋に荷物を運ばせた。 一同も二階へ上がって、泊まる部屋を確かめることにした。
クリス・ドレクセルはエイプリルと並んでついてきた。 彼はジョーディと話したくてたまらない様子だった。
「水くさいよな。 全然知らせてくれなくて。 僕のほうはちゃんと手紙で教えただろう?」
「まだ正式な養子ってわけじゃないから。 それに、婚約はしたが、結婚までにはまだ時間があるんだ」
「ふうん」
クリスはまだ不満そうだったが、それ以上の追求は控え、まるで合わせ鏡に交互に映っているかのようにずらりと並ぶドアの一つの前で足を止めた。
「右がお嬢さんたちの部屋、左が若紳士用の部屋。 ご自分たちで部屋割りはご自由に」
親切にも部屋の見分けがつくように、ドアには小さなボードがかかっていた。 エイプリルが小声で説明した。
「ここには名刺を挟んでおくのよ。 なければ名前を書いた紙を入れておくと見分けがつくわ」
「ああ、なるほど」
エディがすぐ名刺を取り出した。 高校に入ってから特に女子の知り合いが多くなったため、去年から名刺を持ち歩いているのだ。
女子は仲良しが決まっているため、すぐ部屋割りができた。 一方男子のほうは、四人しかいないのに牽制しあっていて、三人がジョーディと同部屋になりたがった。 だからここはジョーディが選ぶしかなく、エディとダグを見比べてダグにした。 この二人は人気度が同じぐらいあって、中学時代から何かと張り合っているため、一緒にしておけないのだ。
エディはすぐ割り切った。 そしてしょげているハウイの腕に軽くジャブを入れた。
「仲良くやろうぜ。 僕じゃ嫌か?」
ハウイはあわてて首を振った。
「そんなことはないよ。 ただジョーディなら僕がいびきをかいても叩き起こさないから」
エディは吹き出し、手前のドアをさっさと開けて、自分で荷物を運び入れた。
「お、眺めがいい。 前庭の花壇がきれいに見えるよ」
その間に、クリスがアルフを奥の部屋へ案内した。 アルフは大人で引率者なので、初めから別の部屋が用意してあった。
ジェンはマージと、真ん中あたりの部屋に入った。 右側の部屋列は治安上、表通りではなく中庭に面していて、こちらも整然と並んだ花壇と噴水つきの池ですばらしい眺めだった。
「夕食は八時よ」
そうエイプリルが知らせに来た。
「だからまだ充分時間があるわ。 みんなで庭を見に行かない?」
「そうね、案内してくれる?」
「ええ、実は私も全部見て回ったわけじゃないんだけど」
そこで女子たち六人は旅行着を手早く着替え、エイプリルについて階段を降り、庭へ通じる突き当りの戸口から外に出た。
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