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51 驚く知らせ
コニーは頬を染めて、いつものようにうつむき加減だった。 それでも口元がゆるんでいて、ミッチに軽く頭をもたせかけている。 ジェンは驚いた。 人前でコニーが夫に甘えるような仕草をみせたのは、これが初めてだったのだ。
こざっぱりと暖かいセーターに着替えて姿を見せた娘に、ミッチは錆びた大きめの声で呼びかけた。
「やっと来たな。 さあ、こっちへおいで」
そしてジェンが傍に行くと、母と同じに肩を抱きしめられた。 義父は上気して、ひどく満足げだった。
「なあジェン、すごいぞ。 コニーがお母さんになるんだ」
一瞬のうちに、ジェンのこめかみを衝撃が突きぬけた。
コニーが母親になる。 新しい子供が生まれるんだ。 この家の正当な跡継ぎが。
十二年以上経って、ようやくここに受け入れられ、半年がんばって家族の一員になれた。 かわいがってもらい、帰りが遅いと心配され、ささやかながら仕事もやって、大事にされるようになった。
だが、これからは二番手だ。 どこの家でも新しい子が生まれれば、上の子はしばらく二の次になる。 それは普通だ。 でもジェンの場合は、もともといらない子供だった……。
次の瞬間、ジェンは表情を取りつくろって、輝く笑顔をミッチに向け、コニーに抱きついて頬にキスした。 祝福したい気持ちは本物だった。 だがその温かい思いの奥に、凍えた塊がぽつんと姿を現していた。
無邪気なワンダがその場にいてくれたことが救いだった。 ジェンはお祝いの会に変わった夕食をワンダとおしゃべりしながらうまく乗り切り、食後は男の子たちをまじえて人生ゲームをやって、大いに盛り上がった。
九時過ぎになって、ちらほらと小雪が降りだした。 レースのカーテン越しに気づいた父親のジョージは、やっこらさと重い腰を上げた。
「居心地がよすぎて、つい長居してしまった。 そろそろホテルへ引揚げなきゃ」
それで、ワンダを残してゴードン一家は帰り支度を始めた。 ワンダは得意そうで、盛んにピーターをからかっていた。
「面倒くさいでしょう。 ここに泊まりたいんでしょう」
「うるさいな。 女の子同士のおしゃべりなんかに付き合ってられるかよ」
「僕はいたいな。 ジェンは話がうまいから、きっとこの辺の面白い話をいっぱい聞かせてくれるよ」
アンソニーが目を光らせて言ったので、ピーターはうんざりして呟いた。
「またそうやって、女にいい顔して。 ごますり」
「もてて何が悪い。 ひがむな」
二人がふざけて、腕を伸ばし合って互いに捕まえようとするのを、ジョージが大きな体をぐいと間に入れて押しやった。
「さあ行くんだ、前途ある若者ども。 明日また一緒に遊べるんだから」
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